<清川屋座談会>いま、山形で起きていること。②【清川屋よみもの】25.2.15



こんにちは。清川屋スタッフの白井です。
前回の座談会では、山形県全域で記録的な豪雨や猛暑に見舞われた2024年の初夏、
さくらんぼが「過去に例をみない凶作水準」となった逆境の中、お客様の暖かいお言葉により緊急企画として
「双子果のさくらんぼ」の販売を始めたりと清川屋としては初の試みを行うことになったことについて、
清川屋スタッフが当時を振り返りました。 今回はその座談会の第二弾です。

特産品を通して見つめた、山形のいまとこれから。 そして、私たちにどんなことができるのか。引き続き、みなさんも一緒に考えていただけたらうれしいです。



右から 代表取締役の伊藤舞 商品開発担当の和嶋宏樹 
通販の運営管理担当の朝比奈順子 通販の問合せ対応の管理担当の原田龍也


「できることなら、直接持っていきたいくらいです」

──これから、さくらんぼの栽培はどうなるのでしょうか。

原田──背景にあるのは地球規模の気候変動です。
先日、山形県主催の対策フォーラムがありました。そこで提唱されていたのは、高温対策を用いた新しい栽培方法でした。
たとえば、実の色づきのための日光をあえて遮光したり、一様の栽培管理ではなく、
リスクヘッジのため「栽培管理・収穫時期」をバラつかせたり、スプリンクラーで潅水することも温度降下にかなり効果的とのことでした。
また、長年人気の佐藤錦を減らして、暑さに強い「紅秀峰」の栽培割合を増やすことも、さくらんぼ農家さんの課題となっています。

伊藤──農家の方々は、これまで積み重ねてきた経験を見直さなくてはいけないのかもしれません。 私たちとしてもできることはなにか。
過熟のさくらんぼを加工用として利用したり、規格外品の販売に向けた体制作りにも取り組んでいます。
 


さくらんぼの規格外品を使ったジェラートの試作品。清川屋の製菓部門スタッフが開発された。
商品化を目指し、原料加工のため県内にある就労支援事業所との連携を模索している。

──翌月の7月25日には豪雨で山形県内でも広い範囲で被害がありました。

和嶋──刈屋梨の畑が水没し、大きな被害を受けました。収穫直前の実の高さまで汚水に浸かってしまい、水が引いたあともがれきが残っている状況でした。

朝比奈──社内で有志を募り、8月2日から4日の3日間にかけて、梨農家さんのところへがれきの撤去に行きました。
土砂をどけて、流木をどけたら、農業機械が埋まっていたんです。大きな鉄の塊です。こんなものまで流されてしまったのかと、愕然としました。
それひとつを片付けるだけで3時間掛かりました。

伊藤──果樹はいちど根腐れを起こすと、元に戻すことはできません。私たちががれきを撤去したところで、樹木が助かるわけではありません。
でも、さくらんぼの高温障害や大雨被害を前にして、なんて言ったらいいんだろう……直感的に「やらなきゃいけない」と思ったんですよね。

 


8月2日に刈屋梨の農園で行なったがれきの撤去作業。河川が氾濫し、土砂が畑に流れ込んだ。
植物の繊維などが絡まった汚泥を取り除きながら、撤去作業がすすめられた。

和嶋──毎年きれいに実った果実にさらに選別を重ねたものを私たちは頂いています。
「今年の出来はどうですか?」と、収穫期だけ気にするんじゃなくて、 1年を通して農家さんがどんな作業をして、どんなことを考えているのかをもっと知りたい。
商品をお客様にお届けするだけじゃなくて、この果実がどう育てられてきたのかを伝えること。
それも、私たちの使命だなと感じました。

朝比奈──電話注文を受けるスタッフたちからも、「農園を見たい」という声があがりましたね。
どんな農園で、どんな人がどのように育てているのか。
目で見て実感できると、電話でも自分の言葉で伝えられますよね。「自分で伝える」といえば、できることなら、果物が収穫されたら、私が新幹線に乗ってお客様のところへ直接持って行きたいくらいなんです。
果物やお米は、新鮮なうちに頂くのが一番ですから。


東京で開催された「あじわう会」の様子。代表取締役の伊藤から皆様へご挨拶。

そんな気持ちもあって、昨年の秋は「おいしいものを携えて、私たちからお客様に直接会いに行こう」という趣旨をもとに「あじわう会」というイベントを東京で初めて開催し、関東に住む清川屋のお客様と交流ができる、嬉しい時間を過ごすことが出来ました。

創始創業は1668年(寛文8年)から350年の間、伝統と歴史を大切にしながら常に新しいチャレンジを続けている清川屋。

今回の座談会を受けて、改めて感じたこととは……?

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