桜の開花と同時に訪れるアスパラの季節
毎年、春の時期に収穫される「早採り山形アスパラ」。清川屋が扱う春の青果物のなかで、とりわけリピーターの多い人気商品です。
4月10日、そんな「早採り山形アスパラ」の収穫が今年も始まったと聞き、商品部の和嶋宏樹(今年で勤続20年)と、通販事業部の水野雄太(入社1年目)が産地にうかがいました。
私たちが向かったのは、鶴岡市市街地から車で30分ほどの「浜中(はまなか)」と呼ばれる海沿いの場所。ここは「庄内砂丘メロン」の産地としても知られる地域です。
道中、土手に沿って菜の花が咲いている様子が車窓から見えました。道案内を務めてくれた方によれば、「例年なら、菜の花はゴールデンウィークに被っていたのに、もう咲いていますねえ」とのこと。

私たち清川屋の一行を出迎えてくれたのは、高橋幾世和(きよかず)さんと、兄の公基(まさき)さん。清川屋で扱っている「早採り山形アスパラ」を栽培する農家さんのうちの一組です。

和嶋「こんにちは!」
高橋幾世和さん「いまちょうど、このハウスでアスパラが出始めたところですよ」



和嶋「おお、すごい! アスパラがたくさん。間近に見ると迫力がありますね。これはなんという品種ですか?」
幾世和さん「うちでは『スーパーウェルカム』という品種を育てています。この浜中あたりでは、『ウェルカム』という系統の品種が植えられていますね。太く育つのが特徴です」

和嶋「ハウス内には、まだ背の低いものから高いものまでありますが、収穫のタイミングってどうやって見極めているんですか?」
幾世和さん「こういう30センチの棒をあてて、これより高いものを根本から切って収穫します。地面から30センチ以上に伸びると、穂先が開いたり根本に赤みが出て、規格外品になってしまうんです」

幾世和さん「これがちょうど2Lサイズくらいの大きさですね。ハウス内には、一見するとたくさん生えているように見えますが、30センチを超えるものはまだ少ないですね。あと3日くらい晴れの日が続くと、もっと忙しくなると思います」

収穫は9月までノンストップ!
公基さん「アスパラの選別の様子もご案内しましょう。これがアスパラの自動選別機です。ここにアスパラを置くと、重量によって自動的に振り分けてくれます」
和嶋「おお!」


幾世和さん「これは選別するだけでなく、ここでは根本のほうを4センチほど自動的にカットしてくれます」
水野「まず30センチで収穫して、最終的に26センチの長さに揃えて出荷するわけですね」
幾世和さん「はい。一般的な露地栽培は25〜26センチほどの長さで収穫しますが、ハウス栽培は根本まで柔らかくなるので、30センチの長さで収穫できるんです」

和嶋「アスパラの栽培で大変なことってなんですか?」
幾世和さん「とにかく出始めたら休みがないことですね。収量は日によりますけど、丸一日休める日はありません。基本的に兄と二人で収穫していますが、子どものことで休まなければいけないときは、誰かにお願いしなくちゃいけません」
和嶋「じゃあ月曜日から日曜日まで、ずーっと収穫作業」
幾世和さん「そうですね。昔は俺も休みたくて、伸びすぎた規格外のものは捨てようと思っていたんだけど、翌日に倍の量を採らないといけないので、もっと忙しくなるんです。なので、“休まない方法”でがんばっています(笑)」

和嶋「ここでは、アスパラの収穫はいつまで続くんでしょうか」
幾世和さん「春のアスパラは、ちょうど桜が咲く時期から5月20日頃まで続きます。6月にいったん収量が減る時期があるんですが、その後は夏のアスパラとして、収穫は9月頃まで続きます」

「こだわった栽培を間近で見るうちに、自分も野菜をつくりたくなって家業を継ぎました」
おすすめの食べ方は!?
和嶋「せっかくなので、ちょっとかじってみてみてもいいですか」
幾世和さん「どうぞどうぞ。でも普通は生では食べませんよ(笑)」
和嶋「(カリッ)…おお、甘みを感じます。繊維感がなくて軟らかいですね!」
水野「おふたりはどんな食べ方がお好きですか?」

幾世和さん「俺は油で炒めて、塩コショウをかけて食べるのが好きですね。妻は茹でてマヨネーズで食べるのが好みのようです。ちょっと贅沢するなら、豚のバラ肉を巻いて焼くのもおいしいです」
公基さん「俺も油炒めが好きですね」
和嶋「太くて甘いアスパラなので、まずはシンプルに食べたいですね。今日はありがとうございました!」

屋外の気温がぐんぐんとあがってきた昼過ぎ。高橋さん兄弟との別れ際、畑に通じる松林の道沿いに、桜のような樹があることに気づきました。
水野「あれ、これは桜の樹ですか?」
公基さん「昔、このあたりに桜を植えたようなのですが、松の背が高くなって、桜は結局あまり育たなかったんです」
水野「もしかしたら、ちょうどこの時期にお花見ができたかもしれませんね」
この道に続いていたかもしれない“幻の桜並木”を想像しながら、私たちは浜中のアスパラ畑をあとにしました。

このレポートでご紹介した「早採り山形アスパラ」の受付はまもなく終了です。おためしあれ!
