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山形の秋冬を代表するフルーツ「ラ・フランス」
山形県の秋冬を彩るフルーツといえば、やはり「ラ・フランス」!
ふわりと広がる芳醇な香りと、どこまでもジューシーでとろけていくような果肉―まさに「果物の女王」と呼ばれるにふさわしい逸品ですね♪
突然ですがここで質問。あなたはラ・フランスと洋梨(西洋梨)の違い、わかりますか?「え!?ラ・フランスと洋梨って同じじゃないの?」そんな方のために、ラ・フランスと洋梨の違いや、ラ・フランス以外の洋梨の種類(品種)について解説していきます。最後までお付き合いくださいね!
洋梨(西洋梨)とは?
結論から申し上げると、ラ・フランスは洋梨の一種なのですが、そもそも洋梨(ようなし)とはどんな果物なのでしょうか。
「洋梨(洋なし/洋ナシ/pear)」とは、ヨーロッパ原産のバラ科ナシ属の樹に実る果実の総称で、西洋梨(セイヨウナシ)とも呼ばれています。起源は中国。のちにヨーロッパに伝わり、16世紀ごろにはドイツやイギリスなどで栽培されていたとか。現在ではヨーロッパはもちろん、日本国内を含めた世界各国で広く栽培されています。
洋梨の特徴は和梨と比較するとよくわかります。
品種によって違いがありますが、多くの洋梨はやや縦長のいびつな形。まるい和梨と比較すると形の違いは歴然です。
また、食感も和梨とは異なり、とろりとした舌触り。熟すと芳醇な香りが漂うのも洋梨の特徴です。
洋梨は品種が非常に多く、現在世界に4000品種ほど存在しているそうですが、そのうち日本で栽培されているのは20品種程度。その中の一つが「ラ・フランス」なのです。
ラ・フランスとは?なぜ山形で栽培がさかんなの?
では、ラ・フランスとはどのようなフルーツなのでしょうか。
「ラ・フランス(ラフランス/lafrance)」とは、洋梨の品種の一種。その名の通り、フランス生まれの洋梨です。1864年にクロード・ブランシュ氏が発見し、その美味しさに感動!フランスを代表する果物にふさわしい、と絶賛したことから「ラ・フランス」と名付けたといわれています。
日本には1903年、山形県には大正初期にやってきたものの、見た目の悪さと栽培の手間から、当時、洋梨生産の主役だったバートレットの受粉樹としての役目に留まり、長く一般に流通することはありませんでした。
生食としてラ・フランスが美味しい!と世の中に知られるようになったのは1980年代以降のこと。長いラ・フランスの歴史から考えると、注目されるようになったのは意外と最近のことなのです。
洋梨は比較的冷涼で雨の少ない地域が栽培に適しているといわれています。山形県の内陸地方はこの環境にぴったり合うことから、100年以上前から洋梨栽培が盛んにおこなわれているのです。
山形県はラ・フランスの生産量が全国第一位!全国生産量の約80%を占めています。(なお、山形県は「洋梨」の生産量も全国第一位!全国で栽培されている洋梨の約65%が山形県産です。スゴイ👏)
〈ラフランスこぼれ話①〉
原産国・フランスではすでに絶滅している!?
フランス語の“la(ラ)”は、英語なら“The(ザ)”。ずばりフランスという名前のついた洋梨ゆえ、当然フランスでも栽培されていると思いきや…実は原産国であるフランスでは1900年代初頭にはほとんど作られなくなったのです!
理由は2つ。1つは他の洋梨に比べて実をつける期間が1ヶ月ほど長いこと。2つ目は病気にかかりやすく手間がかかること。
ヨーロッパ各地の気候がラ・フランス栽培には不向きなこともあり、現在ラ・フランス栽培をしているのは世界中でも日本だけ。ちょっと驚きですよね😲
〈ラフランスこぼれ話②〉
大玉は規格外!?見向きもされなかった「大玉ラ・フランス」
清川屋とラ・フランスとの出会いは1995年。4~6Lサイズという見たこともない大きさのラ・フランスを栽培する農家さんがいらっしゃいました。
当時、大玉のラ・フランスは規格外とされており、“大玉は大味”というイメージが持たれていました。実際、販売当初は店頭でお客様に見向きもされなかったのです。
それでも「大玉のおいしさを伝えたい」と諦めずに農家さんとともに歩み続けること数年。いつしか「清川屋の大玉ラ・フランス」は多くのお客様から愛される存在となったのです。立派な大玉ラ・フランスには、農家さんの愛情と情熱がたっぷり詰まっています。
ラ・フランスがダントツ一位!日本国内で栽培されている洋梨の種類は?
日本で栽培されている洋梨は20品目程度あるとお伝えしましたが、実は日本国内で一番栽培されている洋梨がラ・フランス。国内の洋梨の総栽培面積に占めるシェア率は56.8%!洋梨=ラ・フランスとイメージする方が多いのも納得の数字ですよね。
では、このほか日本ではどのような洋梨が栽培されているのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
栽培面積第2位「ル・レクチェ」 国内シェア8.5%
新潟県を中心に栽培されている「ル・レクチェ」。ラ・フランスと同様、フランス生まれの洋梨です。
明治時代に日本にやってきましたが、栽培が難しく、長く地元で消費されるだけの品種でした。近年の栽培技術の向上により生産量が増加し、スーパー等でもよく見かけるようになったといわれています。
ラ・フランスよりも一回りほど大きく、香りが強いのが特徴。市場に出回る8割以上が新潟県産です。
清川屋ではラ・フランスとのセット「貴婦人の贈り物」をご紹介しています。2大西洋梨の食べ比べはご贈答にもおすすめです!
栽培面積第3位「バートレット」 国内シェア5.2%
「バートレット」はイギリス原産の洋梨です。日本国内での栽培面積は第3位ですが、実は世界で一番多く栽培されている洋梨がこちら。
甘さ控えめで適度な酸味があり、果肉が硬めで加熱しても煮崩れしにくいことから缶詰に使われることの多い品種です。
国内では北海道や青森でさかんに栽培されています。
栽培面積第4位「オーロラ」 国内シェア3.3%
マルゲリット・マリーラとバートレットを掛け合わせてアメリカ・ニューヨークで生まれた「オーロラ」。日本には1980年代に導入されました。
濃厚な甘さとしっとりとなめらかな食感が特徴。9月上旬頃に旬を迎える早生品種で、国内では山形県が生産量日本一!全国シェアは6割以上を誇ります。
清川屋でも夏頃から「特選オーロラ」としてご予約を承っている品種。果皮がはっきりと黄色に変化するので、初めて洋梨を食べる方にも食べ頃がわかりやすくオススメです。
栽培面積第5位「ゼネラル・レクラーク」 国内シェア2.6%
1950年代にフランスで発見された「ゼネラル・レクラーク」。一般的な洋梨が250g前後なのに対し、ゼネラル・レクラークは400~600gと大き目。果汁が多く、食べ応えがありジューシーな味わいです。
日本には1977年に青森県に初めて導入されたこともあり、生産量日本一は青森県。山形県は生産量第2位となっています。
清川屋でも秋口からご予約を承っている「ゼネラル・レクラーク」。甘みと酸味のバランスがとれた奥深い味わいをお楽しみください。
栽培面積第6位「マルゲリット・マリーラ」 国内シェア2.6%
フランス生まれの「マルゲリット・マリーラ」は1913年にベルギーから日本に伝えられた大玉の品種。発見者のマリーラ氏にちなんで名づけられたもので、マリゲット・マリラと呼ばれることもあります。
オーロラの親品種であり、9月~10月に旬を迎える“はしり”の品種。マルリゲット・マリーラの国内栽培面積の半分を山形県が占めています。果汁が豊富でとろけるような舌触りの洋梨です。
栽培面積第7位「メロウリッチ」 国内シェア1.7%
洋梨=ヨーロッパ原産と思いがちですが、「メロウリッチ」は日本原産・山形県で誕生した洋梨。2009年に品種登録されたばかりで、山形県内でしか栽培されていないため、県外ではなかなかお目にかかれない珍しい西洋梨といえます。
メロウリッチの特徴は洋梨の中でも糖度が抜群に高く、16~17度に達します。親品種であるラ・フランスが12~13度といわれているので、段違いに甘いことがわかりますね。
日本国内、山形県内でしか栽培されていない特別な西洋梨。清川屋の「メロウリッチ」ぜひご賞味いただきたい逸品です。
栽培面積第8位「シルバーベル」 国内シェア1.6%
「シルバーベル」もメロウリッチ同様、山形生まれの西洋梨。ラ・フランスの枝変わり(=突然変異)の品種で、ラフランス畑の中から発見されました。
ラ・フランスと比べると非常に大きく、1玉がラ・フランスの2倍ほどになることもしばしば。大玉ですが味は繊細、甘みと酸味のバランスがよいのが特徴です。
洋梨シーズンの終盤、クリスマス前後に食べられる洋梨として山形県内では人気の高い品種です。清川屋でも秋口より「シルバーベル」のご予約を承り、洋梨好きな方から毎年支持されております。
栽培面積第9位「マックスレッド・バートレット」 国内シェア1.1%
「マックスレッド・バートレット(レッド・バートレット)」はアメリカ・ワシントン州でバートレットの枝変わりとして発見されました。
大きさや形、果肉の質は通常のバートレットと変わりありませんが、特徴的なのが皮の色。レッド・バートレットはその名の通り果皮が赤く染まりとてもきれいなのです。
栽培面積も少なく、栽培している地域も限られるため、市場に出回る数も少なめ。秋田県で全体の6割が栽培されています。
栽培面積第10位「バラード」 国内シェア1.1%
1999年に品種登録された「バラード」。バートレットとラ・フランスを親に持つ、山形生まれの洋梨です。
現在日本で栽培されている西洋梨の中で最も糖度が高く、16~18度ほどに。酸味が控えめで果汁が多いので、より甘さが際立ちます。
なお「バラード」という名前は、親品種であるバートレットの「バ」とラフランスの「ラ」を取って名付けられました。
清川屋では「特選バラード」として秋口より販売が始まります。食べ頃になると皮が黄色に変化するので、食べ頃のタイミングがわかりやすく、ご贈答にもおすすめです。
ご紹介した洋梨のほかにも「ドワイエネ・デュ・コミス(国内栽培面積第15位・国内シェア0.2%)」「カリフォルニア(同第17位・国内シェア0.1%)」などが栽培されており、清川屋では「ゴールドラ・フランス(圏外)」など、希少な洋梨も取り扱っています。
栽培されている品種が多いこともありますが、ラ・フランス以外の国内シェア率はどれも低く、生産量が少ない希少品種ばかりということがわかります。特にゴールドラ・フランスはなかなか見かけない希少品!洋梨が好きな方にはぜひ召し上がっていただきたい逸品です。
〈まとめ〉ラ・フランスは洋梨の一種!
ラ・フランスは洋梨の一種で、日本国内で一番生産されている品種です。国内の洋梨に占める栽培面積が5割を超えるため、西洋梨とラ・フランスは同じ意味と捉えている方もいらっしゃるのかもしれませんね。
山形県産のラ・フランスは全国生産量の約8割。日本一のラ・フランス産地・山形の中で、清川屋は熟練の農家さんが情熱をもって育てた「大玉ラ・フランス」を中心にこだわりの逸品をご紹介しています。食べた人を魅了する感動のおいしさ。ぜひこの極上の味わいを堪能してみてはいかがでしょうか。
〈おまけ〉西洋梨の食べごろ2つのポイント
ここ4年ほど青果物に携わってきて、食べごろの見極めは、
・軸回りにしわがよる
・全体的に果肉が柔らかくなる
の2つのポイントが大きいかなと思います。
・色の見極め
オーロラは、緑から黄色に変わる
ゼネラルレクラークは、緑色から、黄緑色に変化しますが、さびがおおいので、色だけだと難しい。
バラードは、緑色から、黄緑色に変化
コミスは、緑色から、黄緑色に変化
カリフォルニアは、緑色から黄色に変化
・香りでの見極め
香りでの見極めは、結構難易度高い印象。
ラフランスについては、かなり難しい。
共通しているのは、
・軸回りのしわ
・果皮を押すと押しあとがつく。柔らかく感じる。(軸回りとおしり部分が特にわかりやすい)
と感じています。
山形県の洋梨生産量は全国7割近くとダントツです。食べ頃を見極めてとろける幸せを感じていただきたいです。