だだちゃ豆は、山形県鶴岡市郊外の白山(しらやま)地区で生まれた在来野菜の枝豆です。小ぶりで、さやに茶色いうぶ毛が生えているのが特徴です。わずか数軒の農家が、江戸時代から代々その美味しさを守り続けてきました。
白山地区で「早生豆」を代々守り続けてきた長五郎4代目の伊藤静雄さんにお話を伺いました。「お盆にうまいだだちゃ豆が食べられるって評判になったんだ」たまたま8月上旬という早い時期に実った豆。伊藤家がこの種を大切に育てたことで、早生豆の栽培が現在まで続いてきました。
先代の「長五郎」。偶然にできた早生の豆を大事に育て、種を守りました。
「種用の苗を植えるのは一番最後。9月の涼しい時期に取れた種が、次の年に美味い豆に育つんだ。あちこちから種を売ってくれって言われるよ。渡さないけどね。」
味のいい豆をつくる農家はたちまち評判になり、種を売って欲しいという依頼も多いそう。
伊藤さんは他の人には決して譲らず、自らの土地で家の味を守り続けています。
「甘いばかりが美味いってことじゃないだろう?肥料をやれば甘くはなるが、そうじゃない。目指しているのは、豆の本来の美味しさ。これがだだちゃ豆だ!っていう、昔ながらのコクや香りなんだよ。」
理想の味を目指して、だだちゃ豆栽培を続ける伊藤さん。長年続けていても、毎年何かしらの反省点があるのだそうです。
「雨が多くてもだめ、天気が良すぎてもだめだし、風が吹きすぎても、吹かなくてもだめ。肥料も水もやりすぎはよくないし、何事もバランス良くがいいんだ。それが難しくて、だからおもし ろいんだよな。」
そう笑顔で語る姿からは、だだちゃ豆栽培を心から楽しんでいることが伝わってきました。
だだちゃ豆農家さんの中には、種を買って栽培する農家さんもいますが、清川屋の農家さんは、自家採取した種にこだわります。一番良い豆は食べずに、来年用の種にするために乾燥させ、一粒一粒人の手で選別をしています。
また、日照りや大雨による影響を最小限にするため、全域に灌漑設備を整え、だだちゃ豆専用の畑にする事で、白山産のだだちゃ豆の味にこだわっています。
早朝収穫しただだちゃ豆を鮮度を落とさず、その日のうちに出荷します。長五郎さんのおかげでお盆の時期に楽しめるだだちゃ豆、味わってみませんか。