目次
デラウェアというぶどうを知っていますか?
私が子供の頃のお盆は、青いバナナとデラウェアが定番のお供え物。盆明けのおさがりに、おやつとしてでてくるのが楽しみでした。房全体でも手のひらぐらいのサイズで、ぶどうの粒は小指の先ほどの小ささ。子どもの指でもつまめばツルッと果肉が出てくる面白さと、はちみつみたいな濃厚な甘さに夢中になって食べたものでした。ご家庭で一番身近なぶどう、というイメージが私の中のデラウェアです。
デラウェア懐かしいな~、そういえば最近食べていないな。昔ながらの品種をつくっているのだから結構おじいさんかしら、などと思いながら高畠町和田地区の山道を登ること約20分、お会いしてみたら、なんと33歳の若いお兄さん!勝手におじいさんを想像してすみませんでした。
髙橋善祐さんは、元々ここの生まれで、ぶどう農家の長男。
普通ならそのまま農家になりそうなところですが、髙橋さんは獨協大学を出て(この時奥様と出会う)ニュージーランドでぶどう栽培とワイン技術を学び、2016年に長野のワイナリーに勤務して、ぶどう栽培や各地のぶどうの仕入れなどをしていたそう。
仕入れの為、各地のぶどうを味見しているうちに気がついたのが「あれ、実家で作ってたデラウェアって、もしかして他より美味しいぶどうなのでは?」ということ
ところで「デラウェア」とは?
1855年にオハイオ州デラウェア(デラウェア州ではない)で命名発表されたわりと古い品種です。日本には1872年(明治5年)に初めて輸入されました。
赤紫色で、粒の直径が10mm〜13mm程度の小粒のぶどうです。
デラウエアは巨峰に次いで多く作られているブドウで、価格的にも手頃で身近なブドウとして親しまれてきました。
山形は隠れたぶどう王国
実は「デラウェア」の生産量日本一が山形県というのをご存じでしょうか。山形のぶどう栽培は江戸時代から始まり、明治に「デラウェア」が導入されると爆発的に人気になりました。特に高畠町や南陽市の置賜地区で今でも盛んに作られています。
その中でもとくに産地として有名なのが、髙橋さんの地元である高畠町の和田地区。100年ぐらい前に林を切り開いて開墾した土地だそうで、標高が250-350mとやや小高く、北東南を山に囲まれ、東から西にかけてふきおろしの風が吹きます。この風のおかげでぶどうが病気になりにくいのだそう。
さらに、土は上層から保水性の良い黒ボク土→水はけのよい砂礫層→粘土層と水はけと水もちが良い層が重なっているので、水やりか少なくて済むのだとか。良い風に良い土が揃った、実は非常にぶどうに適した土地柄だったのですね。
「うちのぶどうって、意外とポテンシャル高い?」ということを確かめたくて実家のぶどう畑を訪れた髙橋さんは、荒廃した産地の実情を目の当たりにします。「以前は、ここ一体は見渡す限りぶどう畑だったんです。でもほら、お隣もこっちもみんな樹を切ってしまって荒れ地になってしまったんですよね…」確かに切り株があちこちにあって、かつてぶどう畑だったんだろうな…という痕跡がうかがえました。
近年は「ピオーネ」「シャインマスカット」のような大粒ぶどうが盛んに作られるようになったため、徐々にデラウェアの人気は落ち込んでいき、生産者も高齢化してきているため、廃業する人が後を絶ちません。
美味しいぶどうの産地を守りたい~髙橋さんの挑戦
元々ぶどう農家の長男でしたので、いずれは継ぐかな…ぐらいにふわ~っと考えていた髙橋さんも、この現状をみて、どうにかここの産地を守れないか、ということを考え始めます。そこで考えたのが、ワイナリーです。
「最近はあちこちで小規模で良いワイナリーが出来ていますが、高畠町は高畠ワイナリーしかないので、ここで自分たちのワイナリーを作りたいなと」と語る髙橋さん。
そしてなんと、2022年4月に和田地区の山つき(⁉)のでっかい古民家を購入。奥様とお子さん4歳0歳の4人でUターン移住を始めたのだからその行動力がすごい。
もちろん、まだワイナリーの設備も何もない状態です。髙橋さんは現在、約6反ほどの敷地でデラウェアを栽培しています。「まずは、自分たちのぶどうをどこかに委託してワインを作ってもらいたいと考えています」。また、他の方のぶどう畑をひきとったりして、大粒ぶどうも植えかえたりしているところだそう。美味しいワインの一歩は、美味しいぶどう作りからということですね。
高畠の和田地区で作るぶどうと未来のワイン、出来上がったらぜひ食べて飲んでみたい!清川屋でもぶどうを販売することで髙橋さんの夢を応援できればな、ということでこの度、髙橋さんのデラウェアを特別販売することになりました。
まだ就農2年目ですが、それまで各地のぶどう農園、ワイナリーで培ってきたぶどう栽培の技術がある髙橋さん。しっかりと味ののったデラウェアをお届けします。鮮度抜群、朝取りしたデラウェアを、一房ずつ袋に入れてお届けします。
※ワイン用のブドウは、種ありが多いそうなのですが、今回は生のぶどうそのものの美味しさを楽しんでいただくために、種なしタイプのデラウェアをお届けします。
小さくっても最高のぶどう!
まずはそのまま、親指と人差し指で粒を挟むとツルッと中身が取れます。種もないので食べやすい!皮が気になる方は食べずに出してくださいね(もちろん食べても大丈夫です)
髙橋さん曰く、干してレーズンにすると皮が気にならないのでおすすめだそうです。あとは冷凍するとこれも皮が気にならなくなるそう。髙橋さん曰く「色々な食べ方が楽しめるのがデラウェアのよいところです」
昔食べていたけれど最近デラウェア食べたことないな~という方も、デラウェアを初めて知る方も、ぜひ髙橋さんのデラウェア、食べてみませんか?
2023年デラウェア品評会優秀賞受賞!
2023年7月27日に山形市で行われた「デラウェア」の品評会で、髙橋さんのデラウェアが優秀賞を取りました。今年は高温で着色が遅れているようですが、粒そろいや大きさはバッチリのようです。ますます楽しみです!本格的なお届けは8月に入ってからになるそうなので、もうしばらくお待ちくださいませ(23/7/28追記)