こんにちは、清川屋の和嶋です。
5月31日、鶴岡市櫛引地区。この地で清川屋のアールスメロンを栽培している佐藤さんご夫婦のハウス(メロン畑)へお邪魔してきました。
高校卒業直後からおよそ50年以上農業ひとすじの佐藤さん。清川屋とのお付き合いは30年以上!きっかけはだだちゃ豆でしたが、現在では今回取材したアールスメロンや伝説の庄内米などでお世話になっている、大変付き合いの深い農家さんです。
佐藤さん曰く「メロンは栽培し始めて40年にはなるかなぁ」
山形県内のメロンの産地といえばやはり庄内砂丘が有名。現在、海沿いから離れた櫛引地区でメロン栽培を行っている農家さんは自分たちくらいだろうと話します。
昔、櫛引地区でメロンづくりが推奨され、様々な農家さんが栽培していた時期もあったそうですが、やはり砂丘地区にはかなわないと辞めてしまう人が多かったそう。
そんな状況下で、長年美味しいアールスメロンを育ててくださっている佐藤さんご夫婦。どうぞ~とご自慢のメロン畑へと案内してくださいました。
ハウス内ではメロンがすくすくと育っていました
佐藤さんのところでは現在3棟のハウスでアールスメロンを栽培しているそうです。
ハウス内に足を踏み入れてみると「うわぁ暑っ…!」
想像以上にハウス内は高温!温度計を見ると38度。真夏のような温度、どおりで暑いはずです…
佐藤さん曰く、太陽が出るともっと気温があがるとか。その時はハウスを開けるなどして、40度手前の状態で一定に保つように管理しているのだそうです。
ハウス内にはメロンの苗がずらり!整然と並んでいてとても美しい印象です。
佐藤さんのアールスメロンは、支柱をたててまっすぐにツルを這わせる栽培方法。立体栽培(空中栽培)とか立ち作りと呼ばれています。メロンはぶら下がった状態で実るので、底まで美しく育てられるメリットがあるそうです。
佐藤さんの畑では4月中旬頃から定植(メロンの苗を畑に植えること)をはじめたとのこと。定植から約3ヶ月で収穫期を迎えるそうで、定植した時期によって収穫時期も変わるのだとか。
ハウス内にはたくさんの黄色い可愛らしい花が!
受粉を手助けするハチも飛び回っていました。
さくらんぼ園地でも見かけることの多いハチですが、それよりも大きいうえ、黒っぽいので見た目が怖い印象です…。
佐藤さん曰く、ちょっかいをださなければ怖くないんだよ、とのこと。
ハウス内ではブンブンと羽音をたてながら忙しそうに花から花へと飛び回っていました。
蜂は寒い環境はもちろん、暑くなりすぎても活動が鈍くなるのだそう。そのため、佐藤さんのところでは巣箱に直接日が当たらないよう、黒いテントが張られていました。
「人の手で受粉するよりも、蜂にやってもらったほうが上手に受粉できるんだよね」と佐藤さん。佐藤さんの畑では毎年新しい蜂を購入しているそうです。
小さなメロンの実もいくつも実っていました。
が、「花はたくさんなるし、実もたくさんつくけれど、全部を育てるわけじゃないんですよ」と佐藤さん。
佐藤さん曰く、一度1つのツルに5個くらい実をならせて、形がよさそうな1つを残し、ほかの実は欠いてしまうのだそう。こうすることで1つの実に栄養が集中し、最高のメロンが育つのだそうです。
「残す実の基準ってあるんですか?」の問いに
「う~ん、そういわれると難しいの(笑)」と奥様。
形のよい、格好の良い実になりそうなものを残すんだよ、とのこと。長年の勘によるところが大きいようです。
メロンは実がなってから収穫までおよそ55日かかるそう。
収穫目前になるとどれも同じような見た目になり、収穫の判断がつかなくなる場合も。そのため、着果した日をマーキングし出荷のめやすにしているそうです。
ちなみに花も赤肉と青肉での差がないため、シールの色で判別しているそう。
たしかに赤肉か青肉かの判断は実を割らないとわからないですものね。農家さん側の管理も大変・・。
大小さまざまなメロンがなっている佐藤さんの畑の中に、新聞紙でできた傘がかぶせられているものが。
「ある程度大きくなったら傘をかけているんです。表面にひびが入っているでしょう、これがネット(メロンの網目)になるんですよ。」
見せていただくと確かに皮の表面にひび割れが@@
メロンは実ができて2週間くらいは表面がツルツルなのですが、中身(果肉)の成長のほうが早く、そのスピードに追い付けずに表皮に亀裂(ひび割れ)が生じるのだそう。この亀裂を修復しようと果汁が固まり、盛り上がることで、メロン特有の網目ができるのです。
網目が張っている最中のメロンを見るのは初めて。
こういう風に網目ができていくんだなと感心して見入ってしまいました。
水はけのよい環境を好むメロンですが、もちろん水やりも重要。
実が大きくなる時期には重点的に水をやるそうです。
「一株ずつ手作業ですか?」の問いに「いやいや、コレ(青い筒状のホース)の中を通って水を行き渡らせるんだ。畝の中にも埋め込んであるんだよ」
実が十分に大きくなり、網目がしっかり張ると糖度が上がってくるそう。
「(収穫の)2週間前くらいから糖度あがってくるって言われてるよの」と奥様。
その期間は水やりを控え、糖度が上がるように調整するだそうです。
「うちは極力農薬を使わないから、ほら(笑)」と指さした先には可愛らしいカエルが…!自然に近い形で育てているからこそ見られる光景です。
まるで子どもや孫を育てるように、愛情込めて育てた一玉
手間をかけ、様々な工夫をして大切に育てている佐藤さんのアールスメロン。
収穫のタイミングを迎えるまで、佐藤さんは毎日見回りを欠かさないそうです。
「毎日「おはよう」から始まって、本当に自分の子どものように世話をしてるんですよ。」
「自分の孫も手は離れたんだけどね(笑)、メロンだけは毎年0才の赤ん坊で、しかもハウスで育つ箱入り娘だからねぇ。嫁に出すまでは手間暇かけて育て上げるんだ。」
ハウス栽培だから天候は無関係かと思いきや、天候も気にしているそう。
「根の病気があったりするんですよ。それに芽かきの時期に雨降りだったり天気が崩れそうだと作業できない、病気になりやすいからね。ハウスだから守られていると思うでしょ、気を遣うんですよ。」と佐藤さん。
奥様も「メロンの収穫が無事に終わるとホッとするんです。」と笑います。
農家さんは出荷が終わるその時まで気が休まらないんだなと改めて痛感しました。
「収穫が始まらないとわからない部分もありますが、今のところ順調に生育しているよ」「美味しいメロンが収穫できるよう私たちも頑張ります」
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