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こんにちは、清川屋の和嶋です。
いまの時期の山形といえばさくらんぼですが、清川屋の3大青果のひとつ・盛夏に旬を迎える「だだちゃ豆」もすでに動き出しています。
6月初旬、鶴岡市寺田地区でだだちゃ豆を栽培する小池農園さんの畑へお邪魔し、定植の作業を見学させていただきました。
※定植(ていしょく)とは…
ポットなどで種から育てた苗を、だだちゃ豆畑に植え替える作業のこと。
今回お話を伺ったのは小池農園の秋野さん。
もともとは会社勤めをしていた秋野さんですが、10年ほど前に会社を辞め、奥様の実家の家業であるだだちゃ豆農家に転身。感覚に頼らず、データなどの数値を見極め、安定した品質・収量・美味しさを追求されています。
「やってみたら自分には農家が合っていました」優しい表情で笑いながらいろいろなお話をしてくれる姿が印象的な秋野さんです。
一昨年の種から芽吹いただだちゃ豆の苗
「今日定植するのは8月下旬頃に収穫予定の“本豆”です」
秋野さんのトラックにはたくさんのだだちゃ豆の苗!風にそよそよと揺れる姿が愛らしいです☺
「本当はもう少し小さいうちに定植するんだけど、ここのところ天気がよくての。ちょっと伸びすぎたんです(笑)」
「実はこの苗、2022年の豆から発芽させたものなんです」と秋野さん。
昨年(2023年)に採取した豆でも発芽を試みたそうなのですが、うまくいかず、残しておいた一昨年(2022年)の豆で発芽させたのだそう。
「尾浦は昨年の種で発芽したんだけど、小真木・早生・本豆はいまいちでの…」
「だから今年は種をたくさん採るつもりで定植しています」
鶴岡の在来野菜・だだちゃ豆の種は自家採取が基本。
収穫時期に来年の種にする分を一緒に収穫し、よく乾燥させて選別。春に種を植え、発芽させるサイクルで毎年栽培されています。
そのため、良い種が採れるかどうかは非常に重要な問題なんです。
2023年の庄内地方は高温が続き、加えて8月に入ってからほとんど雨が降りませんでした。そんな天候が種にも影響したのでは…と秋野さん。
「種のことを考えると今年は適度に雨が降るといいんだけどの…」
だだちゃ豆の種は毎年採取するものですが、良い種になるかはその年の天候次第。
自然相手の農業、いろいろと考えさせられます…。
一定の間隔で丁寧に植える、地道な定植作業
いざ定植!とその前に、トラクターで畑の土をかき混ぜて最終の土壌づくり。
土壌に空気を含ませ、ふかふかの状態で定植してくのだそうです。
だだちゃ豆畑は土壌調査を行い、pHや土の中の栄養分を検査したのち、必要な肥料を混ぜ込んでいるのだそう。
「pHは6.5くらいの弱酸性がいいって言われてるの。畑ごとに土壌検査をして提出しているんですよ。」
定植機をから歩きさせて溝をつけ、ある程度の位置を決め、いよいよ定植です!
現在は定植機という専用の機械を使って一定の距離で定植をしています。
機械が普及してきたのは20年くらい前のこと。
それまでは畑に紐を張り、一定の長さの棒を当てながら手植えをしていたそうです。
(この広大な畑に手植えしていたとは…農家さんのご苦労には頭が下がります)
畝と畝の間隔は90cm。苗と苗の間隔は品種によって異なるそうですが、
小池農園さんでは小真木は29cm、本豆は38cm、尾浦は32cmで植えているとか。
同じ早生時期に収穫されるだだちゃ豆でも品種の違いで32cmで植えたり38cmで植えたり工夫しているそうです。
この苗同士の間隔については農家さんに依るとのこと。
秋野さん曰く、間隔を広くとっても狭くとっても、面積当たりの収穫量はあまり変わらないのだとか。
「苗と苗の距離を詰めても収穫量は増えなくて、詰めすぎると逆に収量が悪くなったりもする。一番効率的な苗のピッチが、今の間隔だなやの。」
小真木・早生豆もすくすく生育中!
定植からしばらく経った早生だだちゃ豆、小真木だだちゃ豆の畑も見せていただきました。
こちらが早生だだちゃ豆(8月上旬収穫予定)の畑。5月中旬~下旬頃に定植したそうです。定植時の苗と比べると葉が増えていますね。
こちらは小真木だだちゃ豆(7月下旬収穫予定)の畑。
定植時期は5月上旬~中旬頃とのこと。
早生収穫の畑よりさらにたくさんの葉を茂らせ、大きく生長していますね☺
だだちゃ豆のさやはあるかな?と探してみましたが、まだ確認できずでした。
「今年は去年みでぇだ暑さにならねどいいなぁ(=去年のような暑さにならなければいいな)。適度に雨も欲しいの」
定植は1日で終わるものではなく、品種ごとにそれぞれ3~5回ほどに分けて作業しているのだとか。本豆の定植もあと2,3回行うのだそうです。
ここまでの工程は順調だったそうですが、
やはり気がかりなのは今年の天候だといいます。
農作物がすくすくと育ち、美味しいだだちゃ豆が育つ気候で経過しますように…。
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