こんにちは、清川屋スタッフのしらいです。
山形県の庄内地方に住むご家庭では12月になると、
”とある2つの行事”に向けての準備が始まること、皆さんはご存知でしたでしょうか。
どちらも共通して、神様をお祝いする祭りを開き、神様にまつわる縁起物を食べて福を呼び込む行事……それが、「大黒様のお歳夜」と「観音様のお歳夜」です。
今回は、そんな師走の風物詩でもあり庄内地方特有の2つの行事をご紹介いたします!
福の神様の結婚記念日!?<大黒様のお歳夜>
最初にご紹介する<大黒様のお歳夜>は毎年12月9日に行われる行事で、
大黒様は七福神の一人。頭巾をかぶり、小槌と福袋を持って米俵に乗った姿が良く知られている、いわゆる福神様のことです。
諸説ありますが「大黒様が妻を迎える夜」をお祝いする行事。つまり、神様の結婚記念日ということでしょうか……!
庄内地方の各家庭では仏間や神棚などに大黒様を並べて、その前にまっか大根(根が二股になった大根)、米炒り(いわゆるポン菓子)をお供えします。
その際に、お金が入った財布やお札を大黒様にお供えするとお金を増やしてくれるという謂れがあるとのこと。さすが福の神様…°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°
そして<大黒様のお歳夜>の一番の特徴なのが、その日の夕食に「ハタハタの田楽」や、「納豆汁」や「豆腐田楽」などの豆づくしの食べものを神棚に上げて大黒様を拝み、同じ料理を皆で食べることです!
とは言え、実は生まれも育ちも鶴岡市の私ですが、ここまでしっかりと<大黒様のお歳夜>を迎えたことが、実はありません(-_-;)
そこで、「我が家では毎年欠かさず<大黒様のお歳夜>の準備をしていますよ!」
と語る清川屋スタッフ・すずき にお話を伺ってみました。
我が家では毎年、”大黒様のお歳夜”には、大黒様を飾り、
財布を置き、大黒様献立でその日の夜を迎えます。
きちんと大黒様を拝んだあとに、夜御飯(同じ献立)を食べます。
【清川屋スタッフ・すずき家の大黒様のお歳夜メニュー】
- 黒豆ご飯
- 焼き豆腐の田楽
- ハタハタの田楽
- 黒豆なます
- 納豆汁
我が家の納豆汁に「いもがら(からとり芋の茎の部分)」はかかせないもので、家の畑で栽培しています。
からとり芋の収穫後、茎部分の皮を剥き、乾燥させ、大黒様の日に間に合わせています。
※「からとり芋」とは、庄内に伝わる里芋の一種。
芋の部分を「ずいき」や「ずいき芋」、茎の部分を「からとり」、「からとり」を干したものを「いもがら」といいます。
と、納豆汁の具材にまでしっかりこだわっている すずき家。凄いです…@@
こんな風に全ての料理を作るのは……><;という人でも
「大黒様の日には<納豆汁>と<ハタハタ>だけは用意する!」というご家庭は多いのだとか。(しらい家もそんな感じでした(笑))
その中でも納豆汁は、山菜やきのこの味噌汁にすりつぶした納豆を加えた山形の伝統料理で、大黒様のお歳夜や寒い時期によく食べられ、この季節にはぴったりの汁物です。
加えて、冬の日本海に到来するハタハタは庄内ではなじみ深いお魚。
12月に入ると地元のスーパーの鮮魚コーナーはハタハタがずらりと並びます。
雌のハタハタはぷちぷちとした卵の食感が楽しめ、雄のハタハタは大ぶりながらも実が詰まって脂が乗っており、どちらも冬の滋味には欠かせません!
思えば私が子供の頃は、給食でも大黒様献立だったような…
今日は「大黒様の日かー」と、少し残念な気持ちになりながら、家では黒豆ご飯と納豆汁のみ食べていた気がします(笑)
大人になってからは全て食べられるようになり、質素ながらも伝統的な大黒様献立が毎年の行事になりました。
自分がそうだったように、私の子供達は「これだけ?」という感じで大黒様献立を食べています^ ^;
庄内の伝統的な文化をなくさないよう、我が家では今年も開催します!
家庭によって形は少し違っても、200年以上家庭で受け継がれているこの行事。
大黒様と家族全員が、手間暇かけて”まめ”に作った”豆尽くし”の料理を食べることで「商売繁盛」、「まめに働けるよう」、「家族がまめ(健康)に暮らせるように」との想いが込められていると言われています。
今年の感謝と来年の願いを込めた、雪国の食文化の一部なんですね(*^^*)
縁起菓子と共に過ごす年の瀬…♪<観音様のお歳夜>と<だるま祭>
次に紹介するのが、毎年12月17日に当たる<観音様のお歳夜>です。
この行事を通じて庄内地方の人々の印象に残るのが、鶴岡市本町二丁目の七日町観音堂で行われる例祭の<だるま祭>です。
こちらの起源も諸説ありますが、その昔、遊女たちが自らの運命を変えるべく「七転び八起き」のだるまにあやかって、観音様に願いを掛けたことが始まりと言われているお祭りです。
次第に庶民の間で広まるようになり、商売繁盛や合格成就を願う冬の風物詩と変化し、現代も賑わいを見せています。
鶴岡市出身で現在は仙台に移住している清川屋スタッフ・しが に<だるま祭>に関して伺ったところ、このような思い出深いエピソードが……
だるま祭は、いつもは静かな観音堂がこの日だけ賑やかになる日です。
境内にはだるま市が立ち、だるまや熊手、招き猫など縁起物を売るお店が並び、福を求める参拝客で賑わいます。
また参拝後にくじを引くことができ、当たると小さいだるまをいただけるのが子供の頃の楽しみでした。
(あとガラス細工のお店が好きで、シンデレラが履くようなガラスの靴を眺めつつ、お小遣いで買える小さなガラス細工を買うのも楽しみでした。)
そしてこの日は雪が降る、とも言われています。
今年はどんな年になるでしょう。
そして、こちらの<だるま祭>に欠かせないのが「きりさんしょ(切山椒)」という餅菓子です。
「きりさんしょ」の始まりは明治の初めころ、長崎屋というお菓子やさんが浅草の菓子を参考に、その年にあまったお菓子のくずを大切にとっておき、縁起菓子にして販売したところから始まったのだとか。
今では長崎屋さんはなくなってしまい、鶴岡市内の菓子店がそれぞれの原材料と製造方法で作っているそうです。
一度にたくさんの数の実をつける山椒の粉を使っているため、子孫繁栄や邪気払いの縁起物として食べられている、師走にしか味わえない伝統深いお菓子の「きりさんしょ」ですが、こちらも庄内地方の鶴岡市でしか扱っていないお菓子です。
山形市のお店に勤務していた頃も「きりさんしょありますか?」と聞かれます!
「きりさんしょ」は、知らない人には全くわからない、食べてうまーい!というものでもないですが💦(ごめんなさい)
鶴岡を離れた方が清川屋ならと求めたくなるのが「きりさんしょ」だと思います。
そんな鶴岡出身の人には馴染み深い、「きりさんしょ」。
清川屋でも予約が始まっていますが、しがさんの言うように鶴岡出身で内陸や県外に在住のお客様からの注文やお問い合わせが多いお菓子なんです。
もし、今回のブログを見て「懐かしいな」と思われた方がいたら、
この期間限定でしか味わえない伝統菓子「きりさんしょ」のふるさとの味を思い出すきっかけになりましたら幸いです(*´艸`*)